iDeCoを始めるにあたって、最初の関門は「どのファンドを選んだらいいのか?」ということだと思います。
管理費用が安いものを選ぶ
まず、中長期での積立を前提とした場合、大前提となるのはファンドの管理費用が安いものを選ぶことです。
僕もそうでしたが、直近のリターンが高いものに目が移りがちですが、
- 10年、20年という長期投資であれば手数料となる管理費用の大小が非常に大きくなる
- アクティブファンドだからといって必ずリターンが大きく得られるという訳ではない
という現実があり、結局は管理費用が安いインデックスファンドを選ぶのが正解だと考えています。
楽天証券で選べるファンド
楽天証券のiDeCoで提供されているファンドはこちらの32本。
特徴として米国株投資で人気のETF、VTIとVTを投資対象とした商品が提供されています。
VTIとVT
ここでVTIとVTについて簡単に紹介しておきます。
VTIとVTはETF(上場投資信託)という商品で、現物株と同じくマーケットが開いている間はリアルタイムで値が動き、自由なタイミングで売買することができます。
買付ランキングでも上位に位置し、様々なメディアで話題に上がることも多いので認知度も高いと思います。
正式名称 | 投資対象 | 経費率 | 純資産額 (2022/11/30) | |
VTI | Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF | 米国市場の大型株から中小型株を含めた約4,000銘柄 | 0.03% | 2,762.67億USドル |
VT | Vanguard Total World Stock Index Fund ETF | 全世界約47ヵ国の大型・中小型株約8,000銘柄 | 0.07% | 249.26億USドル |
VTIは米国株式をまるごと投資対象とするものです。
実際、世界経済の中心は米国であり日本市場も含めて世界のマーケットは米国市場の影響を受けるので、合理性の高い投資対象かなと思います。
VTは構成銘柄の64.90%が米国株であるため、内容として重なるところが大きくはあるのですが、世界中の株式に広く投資できます。
ほったらかしで投資するには最適解
より高いパフォーマンスを目指そうと個別株投資や、気候変動・DX・ハイテクなどのテーマ、それから新興国やエマージング市場などのマーケットに絞って投資をしようとするとき、多少なりとも対象を調べたり分析したりする手間と時間が必要です。
世界経済が成長していくという前提(でなければ、そもそも投資はしない)で投資を行いつつも、テーマやマーケットの分析を行う手間や時間が取れない方にとっては、「これを積立投資しておけばOK」という最適解だと思います。
メリット
両者に共通して言えるメリットとしては、
- 投資信託と比較しても経費率(手数料)が安い
- 世界経済のうち6割強は米国市場が占め、かつ各国マーケットも米国の影響を受けるので、米国全体への投資が合理的である(カバーできる範囲が最も広い)
- (個別株投資に比べて)投資対象が広く分散投資になり、リスク軽減できる
という点が挙げられます。
デメリット
VTIおよびVTが、というよりETFのデメリットになりますが、
- ETFなので積み立てNISAでは買えない
- 1株単位で売買するので、最低投資金額がある程度必要
- 為替リスクを直接的に負う
ということがあります。
投資信託より経費率が安いのですが、積み立てNISAでは購入できない=自身で継続的に積立てなければならない&購入単価が現在値になる(100円投資のようなことができない)、ということで金額も手間も掛かります。
そして何より、為替リスクを直接負うことは考慮しておくべきかと思います。今より円高に触れればその分円建てでの評価額はマイナスになり、慣れていないとこれが結構精神的に圧迫します。
VTIとVTについては、また改めてまとめてみます。
積み立てNISAやiDeCoで投資するなら
前述の通りVTIとVTは米国のETFなので、積み立てNISAやiDeCoでは購入することができません。
一般NISAか、一般口座や特定口座で現物を取引することになります。
ただし、楽天証券とSBI証券ではこのVTI・VTに投資する投資信託が存在し、これを100円から積み立てることができます。
特に楽天証券ではiDeCoで積立投資できるので、大きなメリットとなります。
楽天証券
商品名 | 管理費用 | 純資産額 | iDeCo | 積立NISA | |
VTI | 楽天・全米株式インデックス・ファンド 【愛称】楽天・バンガード・ファンド(全米株式) | 0.162% | 7598.34億円 | ○ | ○ |
VT | 楽天・全世界株式インデックス・ファンド 【愛称】楽天・バンガード・ファンド(全世界株式) | 0.199% | 2323.82億円 | ○ | ○ |
SBI証券
| 商品名 | 管理費用 | 純資産額 | iDeCo | 積立NISA |
VTI | SBI・V・全米株式インデックス・ファンド 【愛称】SBI・V・全米株式 | 0.0938% | 1234.75億円 | ✕ | ○ |
VT | SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド 【愛称】SBI・V・全世界株式 | 0.1338% | 160.39億円 | ✕ | ○ |
同じ投資対象でありながら、SBIの商品の方が管理費用が安く、積立のメリットが大きいのですが、
- SBI証券のみで取り扱い
- iDeCoには非対応
となっています。
iDeCoの投資対象銘柄となるには金融庁の認可が必要で、この両者は新設のファンドなのでまだ認められていないという状況です。そのうち対象になるのではないかと思います。
私の選択はこの3本
ということで、私が楽天証券のiDeCoで選んでいる商品です。
国内株式/債券/REIT、外国株式/債券/REIT…とさまざまな種類がありますが、私は以下の3本を選んでいます。
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全世界株式))
- 三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))
NISAの方でも米国株式への投信を買っていますが、iDeCoでも設定して2階建てにしています。
eMAXIS Slimなど、他の商品があれば選択肢として検討できるかなと思うのですが、今のところ管理費用とのバランスを見ても米国・先進国に投資するならこちらか「たわらノーロード 先進国株式」の二択かなと。
投資対象 | 管理費用 | |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 米国株:100% | 0.1620% |
たわらノーロード 先進国株式 | 米国株:70% その他先進国:30% ※日本を除く | 0.1099% |
と、たわらノーロード 先進国株式の方がコストは安いのですが、米国に振るか、日本以外の先進国も含めるかで分かれます。
両者の組み入れ上位10銘柄は同じなのですが、構成比率が違い合計にも差があります。
また、投資対象としている銘柄数には大きな違いがあります。
楽天・全米株式インデックス・ファンド
銘柄 | 比率 |
Apple Inc. | 5.9% |
Microsoft Corp. | 4.8% |
Amazon.com Inc. | 2.7% |
Tesla Inc. | 2.0% |
Alphabet Inc. Class A | 1.6% |
Alphabet Inc. Class C | 1.4% |
UnitedHealth Group Inc. | 1.3% |
Berkshire Hathaway Inc. Class B | 1.2% |
Johnson & Johnson | 1.2% |
Exxon Mobil Corp. | 1.0% |
上位10銘柄合計比率:23.1%
投資銘柄数:4,035
たわらノーロード 先進国株式
銘柄 | 比率 |
Apple Inc. | 4.65% |
Microsoft Corp. | 3.48% |
Amazon.com Inc. | 1.72% |
Alphabet Inc. Class A | 1.16% |
Alphabet Inc. Class C | 1.10% |
UnitedHealth Group Inc. | 1.01% |
Tesla Inc. | 0.97% |
Exxon Mobil Corp. | 0.95% |
Johnson & Johnson | 0.94% |
Berkshire Hathaway Inc. Class B | 0.82% |
上位10銘柄合計比率:16.8%
投資銘柄数:1,270
まずはVTIに入れてみるか、ということで現在はこちらに35%の配分です。
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全世界株式))
米国の割合が64.90%あるので、実質VTIとそう大差ないのかもしれませんし、15.10%を占めるヨーロッパは来年景気減速がより顕著になると思うのでこちらを組み込むかは悩ましいところだったのですが、
- 長い目で見て、リターンは期待できるだろう
- せっかく用意されているVTへの投信なので、使ってみたい
- 他にいい商品が無い&手数料が高い
ということから選んでいます。
こちらは40%配分しています。
三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド
実は当初はこちらではなく、「たわらノーロード 先進国株式」を選んでいたのですが、スイッチングしました。
- 先進国株式はNISAの方でも積立をしている
- IMFの世界経済の見通しとして、2023年の実質成長率予測値は日本が+1.6%と米国の+1.1%、ユーロ圏の+1.0%を上回っている。それも含めて2023年以降日本株に世界の投資マネーが流れてきて、上げそうな予感がする(勝手な期待)
という理由によりますが、果たしてどうなることやら。
現在、25%配分しています。
ちなみに、米国の金利が高い状況では投資妙味は無いであろうことから、債券とREITは外しています。
加えてまだ投資期間は20年あるので、ディフェンシブになるタイミングではないと捉えており、株式に全振りをしています。
リバランスやスイッチングは新しい商品が出たり、大きく環境が変わったら考えることにして、数年はこの構成で続けてみようと思っています。