2023年年明けから堅調さを見せていた米国市場。
1月の成績は以下の通りでした。
1.3 始値 | 1.30 終値 | 変動値幅 | 騰落率 | |
ダウ | $33148.90 | $34086.05 | +$938.79 | +2.83% |
S&P500 | $3853.29 | $4076.59 | +$237.10 | +6.18% |
ナスダック | $10562.06 | $11584.55 | +$1118.07 | +10.68% |
ナスダック銘柄を中心にハイテク・グロース株に資金が流れ、ダウは押されていましたが3指数とも上昇。
これが2月、月初の雇用統計発表から軒並み経済指標が市場予想を上ブレ。
インフレ抑圧、金利利下げはまだまだ遠いとセンチメントが悪化、3指数とも調整を余儀なくされました。
2.1 始値 | 2.28 終値 | 変動値幅 | 騰落率 | |
ダウ | $34039.60 | $32656.71 | – $1429.34 | – 4.19% |
S&P500 | $4070.07 | $3970.16 | – $106.43 | – 2.61% |
ナスダック | $11573.14 | $11455.54 | – $129.01 | – 1.11% |
各指数の日足チャートです。
さてこの後、3月はどうなるのかと自分を含めて不安になっている方も多いのではないかと思います。
そんな地合いであるからこそ、投資を続ける銘柄のことをしっかり理解しておくことが必要でもあります。
ということで、ETFの代表中の代表でもあるVTIとVOOについて改めて復習してみたいと思います。
正直、全米とS&Pでしょ?くらいしか認識していないので(汗)
まずは一次情報から
意外とバンガードの公式サイトを見たことが無い方も多いのではないでしょうか?
シンプルに良くできているサイトなので是非ご覧を(^^)
概要比較
正式名称 | 投資対象 | 経費率 | 純資産額 (2023/1/31) | |
VTI | Vanguard Total Stock Market ETF | 米国市場の大型株から中小型株を含めた4,026銘柄 | 0.03% | 2,808.24億USドル |
VOO | Vanguard S&P 500 ETF | 米国の主要業種を代表する大型株500銘柄 | 0.03% | 2,796.01億USドル |
どちらも米国の資産運用会社バンガードが展開するETF。
特色でもある経費率の低さが光るのと、純資産総額の大きさが安心材料です。
次に配当利回りと5年の騰落率を。
直近1年 分配金利回り | 騰落率 (1ヶ月) | 騰落率 (3ヶ月) | 騰落率 (6ヶ月) | 騰落率 (1年) | 騰落率 (3年) | 騰落率 (5年) | |
VTI | 1.60% | -2.15% | -0.45% | -1.12% | -8.39% | 37.96% | 54.54% |
VOO | 1.63% | -2.31% | -0.97% | -1.32% | -7.98% | 39.70% | 57.66% |
どちらも、配当利回りを重視するETFではないので、配当金よりETF株価自体の成長を目指すものとなります。
2022年の米国市場はインフレを抑えるための金利上昇政策に伴って下落相場でしたので、1年で見ると騰落率はマイナスですが、これでもだいぶ盛り返しました。3年、5年という長期間で見れば着実に成長を重ねてきたことや、ややVOO(S&P500への集中投資)の方が優勢であったことが分かります。
短期的に下落相場になっても長期的に構えれば成長、というスタンスで臨むことが何より求められますが、果たして過去5年、特に2020年からの大相場のような状況が再来するのか?というところが考えどころ。
先行きの不安は常につきまといますが、私の結論は「愚直に継続積み立て投資」です。
構成銘柄比較
前述の通り、VTIとVOOは投資する対象が大きく異なります。
VTIは米国市場の大型株から中小型株を含めた4,026銘柄。
VOOは米国の主要業種を代表する大型株500銘柄。
ただ、S&P500の採用銘柄500社で米国市場の時価総額のうち約80%がカバーされているので、値動きやリターンは近似します。
構成上位銘柄(2023.1.31時点)
それは構成銘柄にも表れています。
微妙に構成比率が異なりますが、上位20銘柄の顔ぶれはまったく同じ。
ちなみに30位までもほぼ同じ、その下から若干違いが出てきます。
VTI | VOO | |||
1 | Apple Inc. (AAPL) | 5.33% | Apple Inc. (AAPL) | 6.30% |
2 | Microsoft Corp. (MSFT) | 4.52% | Microsoft Corp. (MSFT) | 5.39% |
3 | Amazon.com Inc. (AMZN) | 2.19% | Amazon.com Inc. (AMZN) | 2.67% |
4 | Alphabet Inc. Class A (GOOGL) | 1.44% | Alphabet Inc. Class A (GOOGL) | 1.72% |
5 | Berkshire Hathaway Inc. Class B (BRK.B) | 1.28% | Berkshire Hathaway Inc. Class B (BRK.B) | 1.64% |
6 | Alphabet Inc. Class C (GOOG) | 1.26% | Alphabet Inc. Class C (GOOG) | 1.54% |
7 | Exxon Mobil Corp. (XOM) | 1.17% | NVIDIA Corp. (NVDA) | 1.42% |
8 | UnitedHealth Group Inc. (UNH) | 1.14% | Exxon Mobil Corp. (XOM) | 1.39% |
9 | Tesla Inc. (TSLA) | 1.14% | UnitedHealth Group Inc. (UNH) | 1.36% |
10 | NVIDIA Corp. (NVDA) | 1.12% | Tesla Inc. (TSLA) | 1.36% |
11 | Johnson & Johnson (JNJ) | 1.04% | Johnson & Johnson (JNJ) | 1.25% |
12 | JPMorgan Chase & Co. (JPM) | 1.00% | JPMorgan Chase & Co. (JPM) | 1.20% |
13 | Visa Inc. Class A (V) | 0.91% | Visa Inc. Class A (V) | 1.09% |
14 | Procter & Gamble Co. (PG) | 0.83% | Procter & Gamble Co. (PG) | 0.98% |
15 | Facebook Inc. Class A (META) | 0.82% | Facebook Inc. Class A (META) | 0.98% |
16 | Home Depot Inc. (HD) | 0.81% | Home Depot Inc. (HD) | 0.97% |
17 | Mastercard Inc. Class A (MA) | 0.78% | Mastercard Inc. Class A (MA) | 0.92% |
18 | Chevron Corp. | 0.74% | Chevron Corp. (CVX) | 0.90% |
19 | Eli Lilly & Co. (LLY) | 0.72% | Merck & Co. Inc. (MRK) | 0.79% |
20 | Merck & Co. Inc. (MRK) | 0.67% | Eli Lilly & Co. (LLY) | 0.79% |
この上位銘柄は時価総額加重平均、つまり時価総額の大きい企業により多く投資される方法が取られており、時価総額の低い企業への投資比率が自然に下る(リバランスされる)ように設計されています。
それまで上位だったGAFAMの一角、Meta(Facebook)が2022年最大70%を超える株価暴落となり順位を下げたように、自動的に最適化してくれることから効率的かつ合理的に運用することができます。
なお、S&P500は四半期ごとに構成銘柄を入れ替えるリバランスが行われます。
構成割合の合計にはやや違いがある
VTI、VOOそれぞれの上位10銘柄・上位20銘柄の構成比率を合計してみると下記のようになります。
VTI | VOO | |
上位10銘柄 構成比率 | 20.59% | 24.79% |
上位20銘柄 構成比率 | 28.91% | 34.66% |
VOOの方がこの上位銘柄の影響が大きいことが分かります。
分散を高く意識したいのであれば、VTIを選択した方が安全とも言えますし、逆に積極的に大型株での値上がりを取りたいということであればVOOということになります。
構成セクター(2023.1.31時点)
次にそれぞれを構成するセクター、業種の違いを見てみます。
アメリカの産業の「今」を示していて興味深いです。
VTI | VOO | |||
1 | Technology テクノロジー | 24.30% | Information Technology 情報技術 | 26.50% |
2 | Consumer Discretionary 一般消費財 | 14.20% | Health Care ヘルスケア | 14.70% |
3 | Health Care ヘルスケア | 13.90% | Financials 金融 | 11.70% |
4 | Industrials 資本財 | 13.60% | Consumer Discretionary 一般消費財 | 10.60% |
5 | Financials 金融 | 11.90% | Industrials 資本財 | 8.40% |
6 | Consumer Staples 生活必需品 | 5.50% | Communication Services 通信サービス | 7.80% |
7 | Energy エネルギー | 5.20% | Consumer Staples 生活必需品 | 6.70% |
8 | Real Estate 不動産 | 3.50% | Energy エネルギー | 5.10% |
9 | Utilities 公益事業 | 3.20% | Utilities 公益事業 | 2.90% |
10 | Telecommunications 通信サービス | 2.40% | Real Estate 不動産 | 2.80% |
11 | Basic Materials 素材 | 2.30% | Materials 素材 | 2.80% |
両ETFでのセクター区分に若干違いがあります。
上位5業種は情報技術/テクノロジー、ヘルスケア、金融、一般消費財、資本財で、この合計が【VTI:77.9%】【VOO:71.9%】という点も差があり、これは通信サービスの割合の違いによるもの(VOO=S&P500の方が多い)なのでこの点も特徴となりそうです。
また、2022年12月までの構成比率と比べると変化があります。これは前述の通り四半期ごとのリバランスの影響もあると思います。参考までに2022年12月時点のセクター比率も記載しておきます。
構成セクター(2022年12月時点)
VTI | VOO | |||
1 | Technology テクノロジー | 24.10% | Information Technology 情報技術 | 26.40% |
2 | Health Care ヘルスケア | 14.30% | Health Care ヘルスケア | 15.20% |
3 | Consumer Discretionary 一般消費財 | 13.90% | Financials 金融 | 11.60% |
4 | Industrials 資本財 | 13.40% | Consumer Discretionary 一般消費財 | 10.40% |
5 | Financials 金融 | 11.90% | Industrials 資本財 | 8.40% |
6 | Consumer Staples 生活必需品 | 5.80% | Communication Services 通信サービス | 7.50% |
7 | Energy エネルギー | 5.30% | Consumer Staples 生活必需品 | 7.00% |
8 | Real Estate 不動産 | 3.40% | Energy エネルギー | 5.10% |
9 | Utilities 公益事業 | 3.30% | Utilities 公益事業 | 3.00% |
10 | Telecommunications 通信サービス | 2.40% | Real Estate 不動産 | 2.70% |
11 | Basic Materials 素材 | 2.20% | Materials 素材 | 2.70% |
まとめ
ご覧のように、経費率がともに0.03%と低額であり、投資対象やリターンに大きな違いはありませんので「どちらでも」ということになるのですが、個人的にはVTIの方が扱いやすいかなと思います。
分散投資、リスク管理という視点
- 分散を高く意識したいのであれば、VTIを選択した方が安全
- 逆に積極的に大型株での値上がりを取りたいということであればVOO
投資金額という視点
2023年3月1日の終値は、
- VTI:$198.99
- VOO:$362.78
となっており、VOOの方が単価が高く日本円で約50,000円弱(1ドル136.16円のレートで計算)が必要となります。
VTIであれば約27,000円で投資できるので、こちらの方が扱いやすい金額です。
どちらも米国経済が成長していくという前提に立てば、資産形成に有益な商品です。
SBI証券や楽天証券などオンライン証券会社では購入時手数料が無料でもありますので、投資信託より機動的かつ価格へのダイレクトさを求める場合は、一考の価値ありと思います。